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特集

どれどれド級、超ド級

(2015年5月10日)

ド級(弩級)、超ド級(超弩級)の「ド」は、昔の戦艦ドレッドノートの「ド」だという。「ドレッドノート級」が略されたもので、派生して色々なものごとに使われているのだそうだ。

では実際のところ、ドレッドノート級というのはどれくらいなのだろうと思い、ビルや電車、カバと比べてみたレポートです。

かば

だめな学生のレポートのようですが

まずは辞書から。こういう時はやはり『日本国語大辞典』だ。と言いつつ、もちろんお金もなく所持していないので図書館へ。語釈を引いてみる(以下、太字の橙色は引用です)。

ちょう-どきゅう テウドキフ【超弩級】〔名〕
(1)「ちょうどきゅうかん(超弩級艦)」に同じ。
〔中略〕
(2)(形動)同類のものに比べ、ずばぬけて強大なこと。また、動作などのけたはずれにすさまじいさま。〔後略〕1

詳細は省くが、どうやら昔の英国戦艦ドレッドノート級の船のことを「ド級艦」といい、それを超越する船が「超ド級艦」らしい(弩は当て字とのこと)。そして、「超ド級」という言葉が援用されていった結果、現在のような用法が定着したようだ。(なお用例については3ページ目で触れる。)

右がドレッドノート
右がドレッドノートとのこと 2

セ・リーグしかりヤ軍しかり、ある時期までは一文字で省略するのが定番だったのだろうか。そういえば外来語に限らず、「ほの字」「わ印」など古い言葉でも一文字で省略している。

戦艦に関する知識がない

無知の知というのもおこがましいが、調べるうちに戦艦について何も知らないことが分かってきた。なにしろ戦艦と軍艦の違いすら知らなかったのである。そんな者が戦艦の諸元について調べるというのは、波田陽区さんのまゆ毛の本数や食用菊の追肥について調べるのと何も変わりない。マイナスからの出発である。

資料
資料の海…とは程遠いですが

画期としてのドレッドノート

一般にも使われるようになるくらいなのだから相当有名な艦であったのだろうドレッドノート。どうやら画期的な戦艦であったらしい。

1906年、漱石の「坊つちやん」が発表されたその年にイギリス海軍の戦艦として進水したのがドレッドノート(H. M. S. Dreadnought)であった。わずか1年2か月の工期で完成した本艦は従来の戦艦を一気に陳腐化させた。

ドレッドノート級(dreadnoughts)と呼ばれた戦艦の時代はしかしそう長くなく、その後登場した超ドレッドノート級(super-dreadnoughts)に取って代わられることになる。「ド級」「超ド級」の簡単な由来はこんなところである。

シメジ
写真はシメジです。

余談であるが、変わったところでは、フォークギターの「ドレッドノート型」も本艦に由来するという 3

また「ドレッドノート号いたずら訪問事件」(偽エチオピア皇帝事件Dreadnought Hoax )も大変興味深いので、お時間のある方はリンク先もご覧いただきたい 4

数値でみるドレッドノート

ここで、戦艦ドレッドノートの基本情報を表にまとめてみる。資料には当然兵装についても書いてあるのだが、勉強不足のため割愛させていただいた。

全長 160.6メートル
全幅 25.0メートル
機関出力 2万3,000馬力
乗員 最大773名
速力 21ノット
戦艦ドレッドノート(新造時)諸元 5

悲しいことに、この表に挙げてある数値を見ても、ほとんど具体的な想像ができない。かろうじてわかるのは、全幅25メートルというのが、小学校にある25メートルのプールと同じ長さだということくらいである。

そこでこのレポートでは「ド級」というのが果たしてどれくらいなのかを、あえて表面的に数値でとらえ、なるたけ身近なものに置き換えてみてゆきたい。(なお本来の「ド級艦」は単一口径主砲を多数搭載していることなど兵力の面をいうようです。)

…暗礁に乗り上げてしまわないだろうか。

深夜のドンキホーテ
深夜のドンキホーテで
買い物
無駄な買い物
(誠に恐縮ではございますが、この写真のみ
5秒ほどご覧ください。)

 

【このページの注】※番号をクリックで本文に戻ります。

  • 1 日本国語大辞典第二版編集委員会、小学館国語辞典編集部(編)『日本国語大辞典』第2版、第9巻(小学館、2001年)、89頁。
  • 2 『海軍』第2巻1号(光村合資会社出版部、1907年1月)、13頁。国立国会図書館蔵、許可を得て掲載。(平成27年5月8日付国図利1501055-7-41号、以下同。)
  • 3 中田崇「ド級戦艦を抱えたカウボーイ ――アメリカン・ギターの図像学」(『アメリカ文学評論』第19号〈筑波大学アメリカ文学会、2004年10月〉)、1–14頁。
  • 4 伊藤裕子「『ドレッドノート号いたずら訪問事件』とアビシニアの表象 ――二〇世紀初頭大英帝国の『威信』をめぐって――」(『アリーナ』4号〈中部大学国際人間学研究所、2007年4月〉)、213–222頁。
  • 5 ネイビーヤード編集部(編)『世界の戦艦プロファイル ドレッドノートから大和まで』(大日本絵画、2015年)、9頁および白石光「銘鑑HISTORIA 新時代を拓いた武勲なきエポック艦ドレッドノート」(『歴史群像』第117号〈学研パブリッシング、2013年2月〉)、2頁をもとに作成。

 

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