湯ざまし

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いまさら個人サイト (2011年4月2日)

数年ぶりに個人サイトを作っている。twitterも楽しいのだが、もう少し長く書いてみたくなった。中学生以来。それならブログではないか、という気もするのだが、ちょっと手間がかかる感じがいいな、と思う。

個人のサイトといえば英語である。Welcome to my homepage!  Sorry, this site is Japanese only.   2011 All rights reserved.

世界とつながる、という漠然としたイメージが影響しているのかもしれない。どうしたら英語圏の人が「湯ざまし」にたどり着くのだろう。こちらとしても、外国のサイトを見るのはエッチな写真を探すときくらいのものだ。

ともあれ、いまだにインターネットのイメージは、地球儀の周りをぴゅんぴゅん光の筋が飛び交っているあの画である。

600字でコラム(習作) (2011年4月3日)

ニフティ「デイリーポータルZ」の投稿コーナーに「600字でコラム」というお題が出ており、応募しようとして書いたのですが、「コラム」という気取り具合がよくわからずサイトもなかったので、結局応募はしませんでした。気恥ずかしいのですが載せておきます。いちおう実際のできごとです。

* * *

名古屋から東京に帰った時のこと。お金はないが座って景色を見たいので、中央道経由の昼行高速バスにした。運よく横三列のバスだったが、ギリギリで予約したため、真ん中の席になってしまった。

名古屋駅からしばらく走り、バスは住宅地の近くで停車、ここで隣の席が埋まる。座ったのは30代くらいの女性で、大きいアンティークのような籐編みの旅行鞄を膝の上に乗せた。バスのトランクや網棚を使う様子はない。大事な荷物なのかもしれない。

ところで、なぜだか高速バスの移動にはグミが似合う気がする。食べる音が小さくて済むとか、うとうとしてしまわないようにとか、言い訳のようなことを考えてみる。

と、隣の女性が鞄を開け、何か茶色いものを取り出して撫で始めた。テディベア? 気になってちらちら見ていると、動き始めた。干草のにおいもする。 …うさぎだ。鞄の一角に干草が入っていて、一、二本ずつ与えては撫でている。

茶色の正体
(クリックで拡大)

中央道は次第に山がちになった。二階建てバスの二階で新鮮な視点だが、真ん中の席から外を見ようとするとしぜん隣の女性越しになる。うさぎは鳴くわけでもなし、おとなしく干草を食べているが、まあ気になる。席は最後列で、僕ともう一人の乗客の他には気づく人もいない。

そわそわしたまま6時間、バスは夕方の新宿駅に着いた。グミは半分残った。路上ライブのバンドのボーカルが三角の布に白装束、お化けの恰好で熱唱していた。(586字)

脚韻 (2011年4月9日)

東京出身の人に言っても「どこ?」という反応を受ける、狛江市というところに住んでいる。「世田谷と川崎の間くらい」と説明することにしている。狭い市域のほとんどが住宅地で、都心への通勤通学者が多い。

狛江の駅前にはOdakyu OXというスーパーがあって、その外壁には住宅用火災警報器の設置をすすめる消防署の標語が掛かっている。

標語
「早い発見 被害軽減 狛江安心 二重マル!」

…ラップ調だ。すぐに思い浮かんだのは、リップスライムの「ハデな化粧 オレと決闘 夏のパッション ペイ・アテンション」。ひとつ若者にうける標語を、と言われた署員さんがいるのだろうか。

それにしても最後の「二重マル!」がよく分からない。投げやりな気もする。火災警報器を下から見た形 ◎ にかけたのかもしれない。ノリよく読んでいくとリズムが合わないので、「に・じゅう・ま・る」と頭の中で合わせてみる。

ラップ調であれば、「狛江安心 オマエ感心」とか「狛江安心 備え肝心」とか、いくらでもできそうなものだが、何か裏があってもおかしくはない。標語を変えられてしまった署員さんが非番の日にクラブで憂さを晴らしているのかもしれない。

ひなあられ (2011年4月12日)

二月の終わりごろ、日曜だったが予定もなくぼんやりした気分だったので、等々力渓谷を見に行った。電車に乗ると、高校生くらいの男の子が一人、扉の辺りに立って何かむしゃむしゃ食べている。にきびの目立つ顔、ネルシャツに大きなスポーツバッグ。

持っているのは大袋のひなあられで、手を突っこんではがしっと掴み、口いっぱいに頬張る。口の中がなくならないうちにまた放り込む。飲み物も持たず一心不乱に食べている。親の敵のように、という言葉をとっさに思いついたが、適切かどうかはわからない。

二駅ほどの間にも中身はどんどん減っていく。あるいは目に涙でも浮べているのではないかと気になって見てみたがそのようなこともなく、当然のようにしてどんどん食べているだけ。

等々力渓谷は素敵だった
等々力渓谷は素敵だった

一人暮らしになってからはひなあられを自分で買うようなこともないし、考えてみれば子供の頃にも二、三度しか食べたことがないような気がする。が、思い出してみると、ひなあられを食べた後というのは、どうも口の中が苦く感じたように思うのだ。餅に特有のあの感じ。こんなにむしゃむしゃ食べられるものだっただろうか。

調べてみると、関東のひなあられはポン菓子に砂糖がけしたようなものらしい。僕は子供の頃三重県に住んでいたから、甘くないあられに色のついたものを思い出していた。中に醤油味のものも入っていて、手がべたべたしたおぼえがある。「ひなあられ」という名前で違うものだったというのは初めて知った。

それにしても、だ。いくら甘いからといって、電車の彼がむしゃむしゃ食べる説明にはならない。人が食べるものに説明も何もないが、せめて飲み物は欲しいところ。もうすぐ三月という時期だったので、家にあったものを持ち出してきたのかもしれない。それとも、スーパーかどこかで買ってきたのだろうか。僕のほうが先に降りてしまったので、その後は知らない。カラムーチョやスニッカーズではなく、ひなあられ。むしゃむしゃ。

ベコベコ (2011年4月13日)

古い建物に後からコンピュータ設備を導入したところ、というのはよくある。色々な配線があることは建物を建てた時点では想定されていないから、コンピュータのある部屋だけ上げ底にして、できた床下の空間に配線を通すことになる。スノコのような感じ、といえばいいだろうか。部屋の入口がゆるやかな上り坂になっていることもある。

上げ底にした結果、新たにできた床を歩くと、ベコベコというかボコボコというか、結構派手な音がする。床下の空洞に反響してしまうのだろう。革靴やハイヒールの人が走った日には、さらに大きく響く。

20年や30年もすれば、このような建物は多くが建て替わってしまうだろうし、この音を味わえるのも今だけかもしれない。走るときに気をつかうからあまり好きではないのだが、現代の情緒として覚えておきたい。が、20年後には別の配線が必要になって、今ある建物がまた上げ底になる可能性もある。「20年前には想定されてなかったからしょうがないね」なんて言っているかも。ついてまわるベコベコ音。

か、または、全部無線になってしまうか。

密造 (2011年4月28日)

実家にいたころ、父がドブロクを密造し始めたことがある。農文協の『ドブロクをつくろう』という本を手に入れてからか、それをバイブルのようにして、材料を発注するなど行動をはじめた。一人でやるならいいのだが、結局周囲を巻き込み始めるので、迷惑この上ない。

贅言であろうが、鑑札なしに酒をつくるのは酒税法違反である。売ろうというわけではないから摘発されることもないだろうが、まあ、密造酒づくりに手を染めたわけだ。

麹だのなんだのを買い込んで、甘酒のようなところからドブロクづくりが始まる。実家は狭いアパートで置く場所もないので、共用の廊下に勝手に棚を置き、そこにつくりかけのドブロクを乗せた。

が、すぐにできるものではない。待ちきれないのか、初めの頃は甘酒のようなものをほとんど食べるようにして消費し、カサもいきなり減ってしまった。そして、できるまでの間は安い紙パックの酒を飲んでいるのだ。もとはといえばお金もなくて自分でつくり始めたのだろうが、余計な出費が増えただけである。

確かに酒代は結構な問題だったようで、一時期焼酎にするという話もあったようだが、悪酔いがひどくて大変だったので、日本酒をあきらめるわけにもいかなかった。紙パックの安い酒の中でも一番安いやつは悪酔いするようで、これを飲んだときの乱心ぶりはひどい。というわけで、二番目に安い紙パックの酒を飲んでいたようだった。

結局ドブロクはどうなったかというと、忘れて放置して酢になってしまった。なんともダメな話だ。

このことで得たものは何もないのだが、農文協の本は確かに面白かった。子供ながらに、密造ドブロクのビンが汽車の中で破裂する話などを楽しく読んだのは覚えている。

フィジカルいも (2011年4月29日)

メンタルとフィジカル。何かにつけて耳にする機会が多い。これ、いつもどっちがどっちだったか分からなくなってしまう。「メンタル」と聞いて身体のほうと取ってしまうことは少ないのだが、「フィジカル」と聞いたときにはかなり怪しい。正解する確率、二分の一だ。

ところで、夏の朝にじゃがいもの味噌汁が出てきたときの独特の感じというのがある。じゃがいもの味噌汁はどうにもあのムワッとくる匂いがあって、食べても何だか口の中が酸っぱく感じるという具合で、さらに夏の暑い時期だと暑苦しさはなかなかのものだ。赤だしだと倍増である。子供の頃はこれにご飯で朝食にしていたりもした。ほぼデンプンだ。

海外からいらした方に聞いた話だが、日本でじゃがいもが野菜として扱われているのが理解できないのだという。じゃがいもは炭水化物で主食だろう、「コロッケ定食」など信じられない、というのである。確かにちょっと変ですねアハハ、と答えておいたのだが、やはりたまにコロッケパンは買ってしまう。

マクドナルドにグラコロ(グラタンコロッケ)バーガーというのがあるが、あれ、ほぼ小麦粉だ。マカロニの入ったホワイトソースに衣をつけて揚げたものをパンで挟んでいる。食べるけど。

「ところで、」でつなげば関係ない話二つでも成り立つかと思ったが、やっぱり無理だった。

湯ざまし(個人サイト)
作成:とね(info アットマーク yuzamashi.net)